拡大
思考や意思決定、感覚の統合など、高度な機能を司る脳の表面部分。
領域全体に神経細胞が分布しているため、広い範囲の神経細胞を一度に捉える技術が重要となる。
本研究では、開発した観察窓を用いることで、大脳皮質の頭頂部全域を可視化している。
脳の後方に位置し、運動の調整やバランスの維持、学習を担う領域。
表面が複雑に波打ち湾曲しているため、観察窓の作製が難しい。
大脳皮質と密接に連携しており、本研究による両領域の同時観察は、脳の仕組みを解明する上で大きな鍵となる。
励起光の2つの光子を蛍光分子が同時吸収して励起状態に遷移する非線形光学現象を利用した蛍光顕微鏡法の一種。
従来の蛍光顕微鏡法と比べて、生体組織透過性の高い近赤外光を励起に用いることができるため、生体組織のより深い領域を低侵襲的かつ高分解能で観察できる。
生物の脳を含む神経系を構成する情報伝達を担う細胞。
細胞核を持つ細胞体、他の細胞から信号の入力を受ける樹状突起、他の細胞へ信号を出力する軸索によって構成される。
細胞の形態と信号伝達の活動の両方を可視化する研究が進められている。
サイズがナノメートル(10-9 m)領域の材料の総称。
高分子や金属などを素材としており、薄膜や粒子など様々な形態で用いられる。
材料の表面積が大きくなるためにバルクの状態とは違った特性を示す。
医工学分野などで活用されている。
厚さ数十~数百nmの厚さをもつ薄い膜で、ポリマーを素材として作られたものを指す。
非常に薄いために高い透明性を持つとともに高い柔軟性も持っており、接着剤を使わず物理吸着だけで対象とする領域に貼り付けることができる。
そのため、生体組織の止血や炎症防止にも応用されている。
コーティングした材料の水との親和性を高めることができる高分子材料の一種。
医療材料の親水性コーティングにも用いられる。
本研究では、ナノ薄膜の表面を親水化して湿潤な生体組織へのぬれ性と密着性を高める用途で使用した。
生体脳組織のイメージング用に開発されたナノ薄膜。
高い光透過性、水の屈折率に近い屈折率(1.34)を有するフッ素系樹脂CYTOPを主な構成素材としている。
さらに、脳組織と接着する面には炎症抑制効果を持つPEOを修飾することで、生体組織への接着力を高めている。
特定波長の光を当てることで液体から固体へ硬化する樹脂。
本研究では紫外域の光で硬化する樹脂を利用することで、脳表形状にフィットした広範囲観察窓を作製した。
近年では3Dプリンターの材料としても活用されている。
黄色い蛍光を発するタンパク質。
遺伝子導入で神経細胞に発現させることで生体内で細胞の形態や機能を可視化することができる。
本研究では、神経細胞の形態を広範囲で可視化し、長期的に追跡するために用いた。
小型霊長類で、脳研究で一般的に用いられているマウスやラットよりもヒトに近い高次脳機能をもつモデル動物として利用されている。
他の霊長類に比べ、繁殖しやすく世代交代も早いため、精神疾患や創薬の研究などでも活用が進んでいる。
光の通り道にある屈折率差・形状差で像がぼけたり歪んだりする現象。
例えば、本研究で使用する光硬化性樹脂の屈折率と脳組織との屈折率の差が大きくなると、観察時に検出できる蛍光強度が下がり、解像度やコントラストが低下する。
生体組織の深部領域の観察できる度合い。
本研究では、大脳皮質は観察できているものの、更に脳深部にある海馬(大脳皮質の表面から1mm以上)は観察できていない。
深部観察能の改善には、光学収差を低減する、より長波長の光を利用するなどの方法が用いられる。