由来種 :ヒト
器官・組織・細胞(株)名:尿路結石
染色・ラベル方法等 :非染色
観察手法 :偏光、正立
対物レンズ :20倍
作品画像取得年 :2021
丸山 美帆子
腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患。生涯罹患率10% 以上、5 年以内の再発率が50% 以上であり、年々罹患率も上昇している。
尿の中に含まれている成分が結晶となり、タンパク質なども取り込みながら結晶同士が結合して固くなったもの。
(ここでは特に、尿路結石のことを説明しました)
岩石のような固いものをスライドガラスに張り付けて、研磨剤を使って20 ~ 30μmの薄さまで磨り減らし、顕微鏡で観察できるようにしたもの。
薄片は、透過光や偏光による構成鉱物の観察だけでなく、化学分析をすることも可能。
ある環境において、熱力学的に最も安定な相を安定相、これに準ずる相を準安定相と言う。
尿路結石に最も多く含まれる結晶成分。
シュウ酸カルシウム一水和物(Calcium Oxalate monohydrate:COM)と呼ばれる安定相、シュウ酸カルシウム二水和物(Calcium Oxalatedy
hydrate:COD)と呼ばれる準安定相が結石中によく見られる。
尿路結石に取り込まれているタンパク質でも100 種類以上が報告されている。
それぞれのタンパク質は、尿路結石形成の結晶核形成、結晶成長、結晶凝集、固化の各過程にさまざまな影響を及ぼすが、その効果は明確ではない。
結石の主成分がシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムであることから、カルシウム結合タンパク質が着眼されて研究されている。
解析対象の標的タンパク質が局在する様子を観察できる手法。
一般的には細胞や組織中の標的タンパク質の検出に用いられるが、本研究では尿路結石という“硬い組織”に対して適用し、タンパク質の可視化に成功した。
溶液を媒介して、準安定相が安定相へと徐々に相転移していく現象。
固体を構成する原子、イオン、イオングループ、分子などが化学結合により規則正しく並んだ構造を持ち、一定の化学式でその組成を表現できる固体を結晶という。
同じ化学組成で異なった結晶構造を取る場合は、異なる結晶相、あるいは異なる結晶形を示すという。
X 線マイクロコンピューター断層撮影の略称。X 線を照射し、物体の断面画像や立体像をマイクロメートルオーダーで得られる。